スラチャイ・ジャンティマトン

タイのプロテストソングであるプレーン・プア・チーウィット(生きるための歌)の代表的なバンド「カラワン」の創立メンバーであるスラチャイ・ジャンティマトンは、’76年の血の水曜日事件の後、軍事政権による白色テロを逃れてイサーンの森に入ってゲリラとなり、森から帰還して’82年にカラワンを再結成する。”カラワン”は英語表記すると“CARAVAN”、つまりキャラバンである。その名の通り、カラワンは楽器やアンプやスピーカーを積んだマイクロバスでタイ全土を巡り、人々を鼓舞し続けたのだ。代表曲「人と水牛」「黄色い鳥」「チット・プーミサック」などがある。


アンカナーン・クンチャイ

イサーン(タイ東北地方)のウボンラーチャタニー県に生まれたアンカナーン・クンチャイは、モーラム界に現れた天才少女で、“歌える”モーラム歌手の第一世代にあたる。モーラムは“歌”ではなく“語り”であり当時はモーラム歌手がポップスを歌うことはある意味で禁断だった。国を代表するモーラム歌手、チャウィーワン・ダムヌーンに幼少から弟子入りし、10代半ばで名門楽団、ウボン・パタナー・バンドの主役歌手になった。『バンコクナイツ』の主題歌である「イサーン・ラム・プルーン」は彼女が16歳で吹き込んだもので、現在人気絶頂のターイオラタイにまで歌い継がれる不朽の名作である。日本ではエムレコードからアルバムが再発しており、「爆音映画祭2016特集タイ・イサーン@渋谷WWW」にて来日公演し観客を熱狂させた。正真正銘のタイ・モーラム人間国宝のひとりである。


トンド・トライブ
Tondo Tribe

東南アジア最大のスラムと呼ばれるフィリピンはマニラのトンド地区を拠点に活動するヒップホップグループTondo Tribe。リーダーであるO.G.Sacredとその相棒Rainoaは、フィリピンのインディペンデント映画『Tribu』(’07)と『Happyland』(’10)にも出演。また、2010年と2011年にマニラで開催された国際的なヒップホップ・プロジェクト『Rap in Tondo』、『Rap in Tondo 2』にもフィリピン代表として参加している。『Rap in tondo2』に参加した空族とstillichimiyaとの交流が映画『バンコクナイツ』への出演オファーへとつながった。


スリ・ヤムヒ・アンド・ザ・バビロン・バンド
Suri Yamuhi And The Babylon Band

ザ・バビロン・バンドは、映画『バビロン2-THE OZAWA-』(’12 相澤虎之助監督作品)のために結成され、主題であるベトナム戦争の前線で聴かれた’60年代のロック・ポップスへのオマージュを捧げるサウンドトラック集、“Exile of Babylon”を2012年にリリース。その後スリ・ヤムヒのボーカルを主軸に据えて、スリ・ヤムヒ・アンド・ザ・バビロン・バンドとして、日本語による新しいロックを探求しアルバム”Suri Yamuhi”を2014年に発表。 『バンコクナイツ』では『バビロン2-THE OZAWA-』で使用された「The Song of an Angel」など4曲が再度劇中曲としてリミックスされ使用されている他、映画のためにレコーディングされた新曲も提供している。『バンコクナイツ』の音声、音響監督である山﨑巖がドラマーとして参加している。
http://suriyamuhi.com/


Soi48(宇都木景一&高木紳介)

タイ音楽を主軸に世界各国の音楽を発掘・収集するユニット。『バンコクナイツ』におけるタイ、イサーン音楽の監修とともにYoung-Gと“映画のDJ’s”としても参加。本年2月下旬に空前絶後の本邦初『旅するタイ・イサーン音楽 ディスク・ガイド TRIP TO ISAN』を刊行する。
http://soi48.blogspot.jp


Young-G(stillichimiya)

『バンコクナイツ』を彩る多数のEDMを中心とした楽曲の作曲、“映画のDJ”も担当し、撮影現場では録音スタッフとして山﨑巖とコンビを組んだ。Young-Gは近年注目を集めるASIAN HIPHOPに造詣が深く、自らセレクションしミックスした「Pan Asia」vol.1~2をリリースしている。「Pan Asia」シリーズはまだまだ続くそうなのでチェックしてみて欲しい。きっと東洋で独自の進化を遂げた新たなHIPHOPの世界を教えてくれるだろう。

http://ghz.shop-pro.jp/?pid=92140247